漂着ドローンの話から
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空飛ぶクルマの話からドローンの話になっていたときにタイムリーに飛び込んできた竹富島ミサシへのターゲットドローンの漂着事件、ちょうど良いのでマルチコプターがドローンの代名詞になる以前のお話からしたいと思います。 まずは漂着機について経緯を追ってみましょう。 ![]() 9月8日に竹富島の北岬で見つかった漂着物としてそれは報道された。表記の型番から調べてゆくと正体は標的/標的曳航機のビーチクラフト社のMQM-107Eという無人機であり、当初、開発した米軍所有のものではと考えられていたが、機体には”右”などの漢字もあることから台湾のものでは?という見方も一方にはあった。 ![]() こうして問い合わせをした米軍からは自国のものではないとの公式回答があり、地域としては処分を自衛隊に依頼する話もあったが、その後、事態は一変する。台湾の関係筋から自分のところのものかもとの連絡が入りその後の処理は調整することとなった。
![]() 台湾軍の装備開発部門である中山科学院(国家中山科学研究院)の説明によると 一、報道の内容から、当院は、これは最近の演習で使用した無人標的機であり、一般的な訓練を目的としたもので、機密に類するような機微な機器やデータの搭載は無かったと予備的に判断しています。 二、標的機は先日の訓練終了後に海に落下しましたが悪天候で見失い回収できず、日本の海域に漂着したため、当院では関係対外部署と調整を行い、手続きに沿って事後処理作業を実施することになります。 さて、マルチコプター以前のドローンについてみてみましょう。もともとドローンは無人機を意味します。 ![]() MQM−107はロケットブースターでランチャーから発射され その後ターボジェットの推力で巡航する そして、本来のドローンはミサイルや射撃訓練で使われる標的機や遠隔操縦やあらかじめ指定した飛行経路を飛ぶ無人偵察機などで使われていたため軍用のものが多く、民間ではあまり馴染みのない言葉でした。 ![]() こういう無人機も括りではドローンということになります しかし昨今、モーター、バッテリーの性能が飛躍的に向上し、空撮用のマルチコプターが一般化、多様されるようになるに連れドローン=マルチコプターとして認識されるようになったようです。 近くに居る方々に聞いてみたところ、ドローンで思い浮かぶのは4個の回転翼、あるいはもっとたくさんの回転翼をつけたラジコン機というイメージでした。 なので、このマルチコプターのドローン技術をベースに有人化した「空飛ぶクルマ」は下図のようだったのではないかと思います。 ![]() 既に実用実験段階に入っているものですが、まさに数多くの回転翼がついたマルチコプターであって、「空飛ぶクルマ」の意味するものが、けしてヘリコプターの電動化ではないことが分かります。 こう見てくると誰も定義してはくれませんが、同じ回転翼を使って人を乗せてVTOL(垂直離着陸)運用が出来る飛翔体にしても「空飛ぶクルマ」と従来のヘリコプターの間には以下のような暗黙の違いがある気がいたします。 ・空飛ぶクルマ = 電動のマルチコプター = 人が乗る航空機への参入を目指しているもの ・ヘリコプター = 発動機を動力とするの回転翼機 = 既存の航空機枠で規定される そして「空飛ぶクルマ」が以上の通りであればあまり将来性はないな、というのが個人的な見解です。 なぜかというのを次回、お話したいと思います。 ![]() ![]() |
ゴースト空港の現状
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南ぬ島石垣空港の現状をお知らせしたい。 ![]() コロナ以前は満車に近かったターミナル前の駐車場にクルマはほとんどない ![]() 客待ちのタクシーで埋め尽くされていた待機場所にも一台もない ![]() ダイヤを見ればタクシーがいないのも当然だった ![]() 本当に石垣空港なのか?閑散として誰もいなターミナルは薄気味悪い ![]() お〜りと〜り八重山への下には、新型コロナウィルス感染症に関するお願い 観光客歓迎どころではいメッセージが ![]() フリーパス状態が危惧され、望まれてようやく導入されたサーモグラグラフィ だったが、今は全員に問診できそうな人数だ ![]() ターミナルの店舗はほぼ全店臨時休業 ![]() スタバのテーブルの上には新型コロナウィルス対策が ![]() 開港以来、ほとんど見ることのできなかった飛行機のないエプロン 観光客が来るのはもちろんだが、島民の移動もほとんど出来ない状況だ。はたして、いつまでこの状態が続くのだろうか。 ![]() ![]() |
さようならB737−400
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永らく石垣島と沖縄本島、本土を繋いできたB737−400型が5月までで退役する 今までの慰労を兼ねて5月26日には退役イベントが行われた ![]() 記念行事として行われたチャーターフライトは、沖縄本島の那覇空港を起点に与那国島周辺遊覧〜石垣空港〜宮古島周辺遊覧〜久米島周辺遊覧〜那覇空港という飛行ルートで行われた。 ![]() 使用機材はJA8995で南ぬ島石垣空港へはコールサイン3939(ThankYou ThankYou)として運行。 オーバーヘッドでアプローチ、ライトターン、予定より10分ほど早くRWY22でタッチダウンすると一旦、7番スポットにつける。 ここで乗客を降機させると1時間後には再び乗客を乗せRWY22をテイクオフしていった。 ![]() RWY22にタッチダウンするJA8995。6月以降はJTAのフリートからは−400型は全て退役。 後継機の−800型にその任務を譲ることで−800型NG機単一機種の12機体制になる。 したがって、これ以降、南ぬ島石垣空港で見られるクラシック機はANAのブルードルフィンの短い−500型のみとなる。 ![]() 初期のころのJT8Dをつけた−200型の時代から−400型へとバトンを繋いだB737は、この−400型の退役をもってアナログ時代に終わりを告げ、ウィングレットがつきアイブロウウィンドウのない、グラスコクピットの時代に入ることになる。 ![]() そして、この−400型の後を継ぐNGシリーズにも、今、問題のMAXという後継機が存在する。問題の詳しい内容はついては、石垣空港との関係も深い機体の問題だけに、このメモリアルでもその都度、お伝えしてきた。 ことによれば、JTAのNG機発注時点では納入途中でこのMAXへの機種変更もオプションとしてはあったから、今頃、NGにしておいて良かった〜とJTA関係者は胸をなでおろしているはずである。 もしMAXを導入してフリートの半分が運行停止で飛べないなんてことになっていたら、JTAも観光業界もそして島民も大騒ぎになっていたはずだが、幸いMAXはANAHDが発注しているだけで、国内では現在運行されていないから、ボーイングもFAAも絡んだ世界航空業界の土台を揺さぶる大事件にも関わらず日本ではあまり報道されていない。 そう思って見ればこの−400型でさえ、独特の脚の短い低い胴体に強引に取り付けられたおにぎり方のカウルのCFM56エンジンからは苦肉の策の感を禁じ得ないのだから、さらにMAXのように大型のLEAPエンジンをつけたら、もう老体をいじめるのはそろそろ止めて再設計して脚を延ばそうよ・・・と誰氏も思うことだろう。 ![]() 上が、退役イベントチャーター便のRWY22テイクオフの姿である。 市街地にあった旧空港以来、何度も塗装は変われどずっと被写体であり続け、また島民の足としても、長年お世話になったわけだが、これが私の撮った最後の−400型になるのかも知れない。 そんな感傷もあって、−400型の退役にはひとつの時代の終わりを感じるとともに、あの1500mしかなかった旧空港の短い滑走路に雨の日も横風の日もスポットランディングを決めていた職人技をもつパイロットたちにとっても、感慨深い一つの節目なのではないかと思っている。 どちらに対しても今までの長い付き合いに感謝とお疲れ様の言葉をかけたいと思う。 ありがとう。お疲れ様。さようなら。 この後の疑惑の多いMAXには正直、期待できない。もはやB737の同一機種といえないことが明らかになった今の状況では空に戻っても熟成するのには長い時間がかかりそうだ。 従って利用する立場からしてもJTAには今後、−800型NG機を末長く大事に使って安全な運行をお願いしたいと思う。 関連:八重山毎日新聞 ![]() ![]() |
JTA羽田直行便にB767
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以前、夏場の7〜8月の繁忙期にはJALからのウェットリースでB767を飛ばしていたJTAの羽田直行便だが一昨年と昨年はリース機の関係からなのか就航がなく需要の高いドル箱路線をANAに押さえられたカタチだった。 今年は都合がつけられたのか、再び就航になるようだ。 ![]() ![]() 写真は2014年当時、南ぬ島石垣空港で撮影したもの 26(金)日の八重山毎日新聞には以下の記事が掲載されていた ![]() 一日、羽田〜石垣を二往復しているうちの午前便のみが、このB767−300になるようだ。 試しに7月の予約状況で運行を確認してみると、確かに機材の欄には767の文字が見られる。 予約時点ではB737−800だったものに変更が出ているから、B6の投入は最近になって確定したものなのだろう。 ![]() 東京との直行便は3時間のフライトとなり、B3よりもB6の方が機内も広く快適である。 B767は2通路機とは言え大型ではなく中型機という範疇になるが2−3−2のアブレストでゆったり乗れるB6は機内サービスに関してもゆとりがあるように感じる。 ここ数年、羽田直行便に関して言えばB737−800の二往復のみのJTAに対して、B6、B7、B8を自在に飛ばすANAの独壇場だったが、赤組としては今年の夏場は一矢を報いた格好だ。 でも、せっかく3時間以上あるのに機内WI-FIが使えないとなると、人によっては午後便の選択もあるのかも知れない。 ![]() JTAは運行停止になって夏場の空への復帰の目処も立たないB737MAX−8にしなくて良かったと思っていると同時にB6が調達できて、夏場に向けて安堵しているところではなかろうか。 ![]() ちなみに7月のANAの方はJTAと同日運行予定を予約状況から確認してみると使用機材は午前便、午後ともB777−200になっている。 航空機の座席キャパシティが増えて来島する観光客も増えると同時に、今度はターミナルに人が溢れ、レンタカーが足りなかったり、アクセス道路が渋滞したり、それはそれなりにかかえる課題も多そうだ。 ![]() ![]() |
迎え角の重要性
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エチオピア機の中間報告については、あちこちに部分的な引用や解説記事は見られるものの報告書の全容もCVRの解析の結果をほのめかすものも我々は知らされていない。 インドネシアのライオンエアJT610便とエチオピア航空機のET302便については共通性が認められることから全世界で運行停止中である。 最終的には強力なトリムダウンを行使する失速防止のシステムであるMCASと人間のパイロットが力比べをして負けた結果であることは、共通した見解なのだが、これは最終的に引き起こされた二次災害に近く、事故の引き金となった最初の問題はAOAの誤信号だったということにまず注目してみたい。 ![]() 最初の発端は、このMCASに航空機の主翼と一様流の成す角度である迎え角(angle of attack)を検出するAOAセンサーの値が実情とは大きくことなる数値を示したことである。 丁度、上部のグラフの赤丸の真ん中あたりに黒線がステップで75度を振り切っている様子が見えるが、これがその最初の元凶だ。 緑と黒があるが黒がコクピット左側(PF)、緑が右側(FO)側だから、振り切った数値は左側のセンサーが拾ったもので、実際の飛行姿勢から考えられる迎え角の数値とはほど遠く誤信号であることはすぐわかる。それに比較すると右側は、ほぼ正常値であったと考えられる。 しかし、問題となっている失速防止のMCASシステムが装置のトリガーとして使用していたのは、左側のセンサー値のみであったことが、AOAの異常値を失速と勘違いして強制的にトリムダウンをおこさせる原因となったと考えられる。 通常の手段として(JT610墜落時では、教えられてもいなかったけど)スタブトリムをカットアウトする前に、正常値と思われる右にソースを切り替える手段もないことは誠に妙な設計だ。 JT610、ET302もたまたま(かどうかわからないが)左のセンサーの誤信号によってフェータルな結果を招いたといえるかも知れない。 これが右のセンサーの異常値であったなら、そもそもこの不具合は認知されなかったし、無事に帰れたはずだ。 左右に同様に起こり得るリスクに対して、サイコロの目次第ではその生死も分ける重大な違いを生じる設計に納得の行かないものを感じるのは私だけではないだろう。 ![]() しかし、どちらの場合もAOAセンサーの異常値がMCASのトリガーにはなっているもののJT610のセンサーが最初の離陸滑走のときから既に左右で20度の差があったのに対して、このET302の場合は、テイクオフまでは左右で一致していたところが大きな違いとしてある。 AOAの検出の経路でいっい何が起こっていたのだろか。もう少し検証してみたい。 05:38:45のラインでAOAが突発的に異常値を検出している。もしセンサー系が壊れたとすればこの時点と考えるのが自然だ。 この前後で右側はほぼ正常値で変化はないから、壊れた原因として以前、ABCが報じていたようにAOAセンサーになんらかの衝撃が加わった可能性が考えられ、テイクオフ直後の低高度でもあることから、鳥衝突の可能性は否定できないものと考えられる。 3軸の加速度を取っているGセンサーの値にも変化が見られることも、なんらかの機体への衝撃が加わったと考えられる。 この事故の調査に詳しい航空関係者2人の話としてABCが報じたところでは、障害物との衝突によって機体の傾きを測るセンサーが不具合を起こした。それが機体の失速を防ぐための飛行システムの誤作動につながり、機首を自動的に引き下げて墜落に至ったとみられる。初期調査の報告書には、こうした経緯が盛り込まれる見込みという。 とのことだが、エチオピア政府のまとめた中間報告書には、具体的にどう盛り込まれたのだろうか。 報告書から鳥衝突のくだりを引用した報道が見られないので、もし、ご存知の方が居られたら教えて欲しいと思う。 ![]() ![]() |
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