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JAL904便エンジントラブルについて(7)
2020/12/29 12:17:34 ブログカテゴリ 日常 | 書庫 事故調




今月4日に発生したB777-200(JAL904便)のエンジントラブルによる重要インシデントについて調査していた運輸安全委員会から調査情況の報告がなされた。




これまでの調査で、左側エンジンのファンブレードが破損していることがわかった。22枚装着されているブレードのうち、15番ブレードは中程、16番ブレードは根元付近から破損しており、16番プレートの破面には疲労破壊の特徴である貝殻状と放射状の模様がみられた。

エンジンはプラット・アンド・ホイットニー社製のPW4074型で、左側エンジンのファンブレードの総使用時間は43,060時間、総飛行回数は33,518時間だった。 






とのこと。飛行時間はブレードではなくエンジンか機体自体の総使用時間ではないかと思われ、飛行回数の単位もおかしいけれど、前段の疲労破壊の特徴である放射状の痕跡は下記の写真から真実と考えられ、基本的にはこの事象は根元から折損した#16ファンブレードの疲労破壊から始まり、隣接する#15ファンブレードも飛散した#16に当たって途中から折損し、先端部分が飛散したものと思われる。



報告によると黄色の起点から赤い点線の範囲が疲労破壊の進んだエリアと考えられる。アール部の反対側にもクラックのようなものと縞状の筋が見られるので、こちら側にも疲労はあったのではないかと思う。




エンジンのケーシング内部にもブレードの飛散によると思われる大きな損傷が見られる上
インレット構造のハニカムや外板にも振動によると思われるダメージが見られる。





その他、ナセル、水平尾翼、胴体などの損傷箇所の写真とともにダメージの情況が示されているが、写真で赤丸をつけたナセルINBDの損傷については記述がなく、これが飛散したブレードの跡だとすると重要なポイントであるにも関わらす、なんら記述も説明もないのは少々、不自然に思われる。
また発表された傷の情況からすると水平尾翼前縁のINBD側の穴は硬いものが突き抜けたように見えるため水平尾翼内部に何か痕跡が残っていないのかが気にかかる。飛散したブレードが内部に残ってはないだろうか?



このナセル内側の傷についても言及がないのは不自然だ



いずれにしても事故の発端は低圧ファンブレードの疲労破壊による折損であり、搭載されたPW4000エンジンに起因するものであることは疑いないと考えられるが、ファンブレードやエンジンカウルなどの失った部品の回収情況やエンジン内部の損傷情況、飛散のメカニズムなどについはいまだ不明な点が多いので、再発防止のためにも今後の詳細な報告が待たれる。

いずれにしても、これだけの損傷を受けて人身事故にならなかったのは、その後の適切な対応も含めて幸いだったいうことだけは確かに思う。
今年はコロナ禍で航空機業界にとっては散々な年であったが、大きな人身事故がなかったのがせめても救いだ。
とばっちりのようにB777の退役も早まってしまったがコロナも飛行機も安全が保障されて始めて繁栄が約束される。ゆめゆめ、整備費をケチることだけは無きようお願いしたいと思います。






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B737MAX飛行再開
2020/12/11 10:22:34 ブログカテゴリ オタク | 書庫 MAX問題




FAAの型式証明を再取得したB737MAXのブラジルでの運行再開がAFPに報じられていました。2度の墜落事故を起こしたMAXの重大欠陥についてはこのブログでもたびたび扱ってきましたが、飛行停止以降におきた世界的なコロナ禍による航空需要全体の落ち込みの方が喫緊の関心事となり、メディアでも同機への安全対策や飛行再開については話題にものぼらなくなっていました。
この記事では

【12月10日 AFP】米航空大手ボーイング(Boeing)737MAX型機の運航が9日、ブラジルの国内便で再開された。2度の墜落事故を受けて停止されていた同型機の運航は約1年9か月ぶり。搭乗したAFP記者によると、同便は特にトラブルを起こすことなく目的地に到着した。

と報じられ、ボーイングの機体がトラブルなく目的地に到着することが記事として書かれるくらいですから、いかにこの機体が同社の信頼を失わせたかが伺い知れます。


MAXの運行を再開させたブラジルのGOL航空機

同型機は計346人の死者を出した2度の墜落事故を受け、昨年3月に全世界で運航を停止。ただ、同便が再開後初の便である事実はゴル航空の乗員から乗客に伝えられず、大半の乗客は機体先頭部に書かれた型番に気付くことはほぼなかった。 乗客の一人は、良いフライトだったとしながらも「機体の過去については知らなかった。私たちに知らせるべきだったのではないかと思う」と語った。(c)AFP

ということは機体に描かれたMAXの文字はそのままの飛行だったことが推察されます。
本機については、情報の知れ渡っている先進国においては乗客から忌避されることを懸念し、改名の措置がとられたり、嫌う乗客には他機種への振り換えに対応するなどの処置を検討している航空会社もあるようなので、コロナ禍で政情も不安定なブラジルならばいいだろうとの裏事情を勘ぐれなくもないです。今後はこうした敷居の低いところから再開されてゆくことを望んでいる関係者も多いのではないでしょうか。
(どうやら下記にリンクを貼ったLosAngeles Timesの記事を読むとGOL航空でも乗客が望めば機体を替えてはくれはするようです)


Boeing’s 737 Max fleet is back in the air two years after two crashed


しかしながら、見切り発車はやめていただきたいものです。それまで民間エアラインで絶大な信頼を築いてきたメーカーのボーイング社と承認をするFAAとの結託が問題になった航空機であることを踏まえ、「AOAセンサーを二重にしました」程度の簡略な説明ではなく製造者と認可者の分離独立という組織的な改変が確実に実施されたことから明らかにし、十分な安全を確保した上で再開に望んで欲しいものです。

本機についてはANAも最大30機を発注しています。
その後のコロナ禍という津波の存在により、お家存続のための立て直し策真っ最中でそれどころではないのかも知れませんが経営建て直し策のひとつとして今ある機体の整理や発注機の見直しがあるはずで、既に大型機の売却が予定されていますが、いずれMAXの発注についても協議されるでしょう。
コロナ禍による民間エアライン全体の健全化についてもですが、MAXについては別途、機体側の問題として今後の動向に注目したいと思います。






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JAL904便エンジントラブルについて(6)
2020/12/09 10:59:03 ブログカテゴリ オタク | 書庫 事故調

その後の追加情報が得られたので貼っておきます


TRAICY(トライシー)に事故の損傷状況が掲載された





現時点では、左エンジンのファンブレード22枚のうち2枚が損傷し、1枚は根元付近、1枚は中程から破断していることが判明している。ファンブレードの破断に伴う振動により、左右のエンジンカウルの留め具が飛行中に外れ、カウルの損傷に至った可能性が考えられるとしている。左側カウルの大部分、右側カウルの一部が欠損した。左側水平尾翼前縁部と左側胴体後方下部に損傷があるものの、外観上大きな損傷は見られかった。




後ろの景色が素通しになりブレード2枚が欠損しているように見えたのは、このような破損状況によるものだった。これはエンジン運転中の破壊試験でも明らかなように根元から折損したブレードを隣接する後続のブレードが叩いたときに先端部が折損したものを思われる。
見たところではその他のファンブレードには大きな損傷はみられない。
ブレードの接するカウルの周囲も大きな傷はなさそうで他事例のようにリップごと落ちるような状況ではなかったようだ。


また、同情報によれば

JALでは、同機と同じプラットアンドホイットニー社製PW4000シリーズエンジンを装備する、ボーイング777型機全9機のエンジン18基のファンブレードの目視と触診による詳細な緊急検査を、12月5日朝までに完了している。便間での目視点検と夜間での目視と触診による詳細検査を当面の間実施する。
また、12月5日以降、非破壊検査(蛍光浸透探傷検査)を開始しており、12月7日中に初回検査を完了する予定。現時点では不具合は発見されていないものの、当面の間は100回の飛行ごとに検査を実施する
同型エンジンのファンブレードは、個別に使用時間を管理しており、現在他社での事例を踏まえ、飛行回数6,500回ごとにメーカーで特別な検査を実施している。このトラブルを踏まえ、飛行回数が3,250回を超えるブレードは順次交換し、メーカーで特別検査を実施する。

ひとまずは目視点検において、他機の同型エンジンに発見されてはいないようだがチタンの疲労強度等については精査してゆく必要がありそうだ。
当面、非破壊と点検時間間隔を短縮して同種事故に対して監視を強化してゆく以外、再発を防止する対策はないのだろう。
ということで記事では2022年3月でB777時代が終わることにも触れている。コロナ禍のさなかフリートの国際線復帰へのマイルストーンはいまもって視野に入ってきていないがJALもいよいよボーイングからエアバスへ。350時代到来ということになるのだろうか。


なお、JALは同型エンジンを装備するボーイング777-200型機を9機、ボーイング777-300型機を4機保有している。ボーイング777-200型機は2021年12月、ボーイング777-300型機は2022年3月までに全機を退役することを計画している。
国土交通省は12月4日、重大インシデントに認定し、運輸安全委員会が調査を行っている。


以上、損傷状況及び検査体制、B777機の今後についても重要な事柄が書かれているので、ほぼ、そのまま青字部分として転載させていただいたが、本文はリンクのTRAICYを確認してください。

以下 Aviation Wireより

JALの777-200のうち、JALが発注した機体はPW4000の中で推力7万7000ポンドのPW4077、JALと合併前の日本エアシステム(JAS)が導入していた旧JAS機は7万4000ポンドのPW4074を搭載している。
ANAのPW4000シリーズ搭載機は24機で、777-200が17機、777-300が7機。点検の結果、いずれも問題がなかった。
JCABによると、海外の航空会社のうち、日本に現在乗り入れている機材にPW4000シリーズを搭載しているものはないという。


その他


ファンブレード2枚損傷  Aviation Wire

12月8日にJTSBのサイトに事故概要が追加された  概 要

12月4日 JL904便の欠航と原因調査状況について  JALお詫び

緊急着陸のJAL機、エンジン損傷はファンブレードの疲労破壊か  琉球新報  12/4関連







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JAL904便エンジントラブルについて(5)
2020/12/08 12:08:46 ブログカテゴリ オタク | 書庫 事故調

アクセスパネルの損傷状況について

ほぼ今ある情報に基づいて記憶しておくことを書きとめたけれど、アクセスパネルにもなっているエンジンカウルの損傷について気付いたことを書いて、JTSBの報告書以前に考えた本事故に関する事柄の最終としたい。



前回、引き合いに出した他事例のファンブレード飛散事故と単純に比べてみて損害が比較的小さいように見える。他の事例のようにリップ構造ごと落ちたり、胴体に大きな損傷を及ぼしていない。
これはフェイルセーフ性においてPW4000が優れていることになるのか、それとも損傷時の出力や破壊時のブレード位相など偶然性によるものなのかは今後、検討する余地がありそうだ。





一方で、めくれあがったパネルの破壊状況にも特徴があるような気がする。他事例ではパネルごと落下しているのに対してヒンジ部分は健全に残っていてパネルの途中でちぎれているように見える。
なぜなのだろう。しかも妙な形だ。




その理由はこのパネルの開いた状態の写真にヒントがあるように思われた。
PW4000にはカウルを空けた状態に保つためのストラットが3本付けられているようだが一番上の1本の取り付け位置と今回、パネルがちぎれた位置がほぼ一致するようなのだ。




このストラットが飛行中の風圧で吹き上げられバンザイしようとするカウルを抑制して局所的に引っ張ったためにこの位置で破断が始まり、不規則な形で外板とハニカムの接着面が剥離しながらちぎれたのかな、とそんなイメージが浮かぶ。
もしこのストラットが頑張らねば、ヒンジ部分だけ残してパネル全体が飛んでいたのではないか。もしくは下のストラットの部分から次々にちぎられたのだろうか。
エンジンにはちぎられたストラットだけがぶら下がっているのが見える。アクセスパネルはかなりの大きさも質量もあるので振動でラッチが外れたときにどんな挙動、破壊をするのかは下流にある主翼、尾翼を守るためにも必要な観点かも知れない。



パネルはつながって落ちたのか分断されたのか、もし回収されたら知りたい

以上、今回の904便の事故関連情報から、自分なりに解析時にチェックしたいことをまとめてみたけれど、様々な観点から調査し連続するエンジン関連の事故の防止に有力な対策が打たれることを願っている。




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JAL904便エンジントラブルについて(4)
2020/12/08 10:40:26 ブログカテゴリ オタク | 書庫 事故調

ファンブレードが破壊するとどうなるのか



さて、今回の904便のファンブレードがなぜ壊れたかというのは、今後の調査を待たねばならないが現時点ではバードストライクや他のFODなどの形跡がないのでエンジン自体のなにかしらのトラブルだとは思う。エンジンの経歴、整備状況、破断面の詳細な情報から今後、明らかにされるだろう。
ただし憂慮するのは民間航空機のエンジンで予想以上に劣化が進んでいるのでは?という以前から気になっている事象との関わりだ。コロナ前、ANAもB787のエンジンの点検のため機体を停めざるを得なかったことなど記憶に新しいし、サザンウェストのCFM56で発生した相次ぐ飛行中のエンジントラブルを石垣事情にも水平展開しこのメモリアルで扱ったとおりだ。



エンジンは違ってもファンブレードの破壊はたびたび起こっている。サウスウェストのCFM56は日本でも使用しているだけに特に関心を持ってこのブログでも扱った。



いずれも今回のPW4000系ではなく、インシデントとしてはよりクリティカルだけれど、エンジントラブルからの機体損傷の波及については参考になる事例だ。
特にこの低圧ファンブレードが脱落したときにどうなるのかについてはblancolirioチャンネルのこの動画が大変参考になる。


この動画の中にあるエンジン破壊テストにおいて、運転中に一枚の低圧ファンブレードを根元から飛散させるとその後、どうなるかについて映像が分かりやすくとらえられている。



カラーのつけられたファンブレードを運転中に根元から破壊すると後続のブレードに叩かれエンジン内に吸い込まれて爆発を起こす様子が見事にとらえられている。
今回の事故機の場合も爆発音と火炎が乗客から報告されているから、試験エンジンとは型式は異なるがバイパス比の大きなターボファンエンジンの一般的な特性として、これに近いことが起こったのではないかと推察される。



ブレードは歯抜けになり他のブレードにも破壊が及ぶ結果も
よく似たものとなっている。



上図、今回の904便での破壊はファンブレード2枚分がなくなっているように見えるが角度によると隣接ブレードの根元は残っているようなので隣接のブレードは途中から破断し先端部分だけが飛んだのではないかと考えるが現時点で正確な破壊状況の情報を持っていないので不明だ。
もし、破壊した先端が外周方向に飛散したのだとするとカウル内側の傷はこの際にできた傷ではないかと推測はしているが、今のところ可能性に過ぎない。
また今回、エンジンのアクセスでもあるカウルは飛散したが他事例とは異なり、先端のリップ構造や低圧ファン自体の落下につながらなかったのはPW4000の構造上の違いによるものが大きいのはないかと考えられる。更なる情報が待たれる。


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