JAL904便エンジントラブルについて(4)
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![]() さて、今回の904便のファンブレードがなぜ壊れたかというのは、今後の調査を待たねばならないが現時点ではバードストライクや他のFODなどの形跡がないのでエンジン自体のなにかしらのトラブルだとは思う。エンジンの経歴、整備状況、破断面の詳細な情報から今後、明らかにされるだろう。 ただし憂慮するのは民間航空機のエンジンで予想以上に劣化が進んでいるのでは?という以前から気になっている事象との関わりだ。コロナ前、ANAもB787のエンジンの点検のため機体を停めざるを得なかったことなど記憶に新しいし、サザンウェストのCFM56で発生した相次ぐ飛行中のエンジントラブルを石垣事情にも水平展開しこのメモリアルで扱ったとおりだ。 ![]() エンジンは違ってもファンブレードの破壊はたびたび起こっている。サウスウェストのCFM56は日本でも使用しているだけに特に関心を持ってこのブログでも扱った。 ![]() いずれも今回のPW4000系ではなく、インシデントとしてはよりクリティカルだけれど、エンジントラブルからの機体損傷の波及については参考になる事例だ。 特にこの低圧ファンブレードが脱落したときにどうなるのかについてはblancolirioチャンネルのこの動画が大変参考になる。 この動画の中にあるエンジン破壊テストにおいて、運転中に一枚の低圧ファンブレードを根元から飛散させるとその後、どうなるかについて映像が分かりやすくとらえられている。 ![]() カラーのつけられたファンブレードを運転中に根元から破壊すると後続のブレードに叩かれエンジン内に吸い込まれて爆発を起こす様子が見事にとらえられている。 今回の事故機の場合も爆発音と火炎が乗客から報告されているから、試験エンジンとは型式は異なるがバイパス比の大きなターボファンエンジンの一般的な特性として、これに近いことが起こったのではないかと推察される。 ![]() ブレードは歯抜けになり他のブレードにも破壊が及ぶ結果も よく似たものとなっている。 ![]() 上図、今回の904便での破壊はファンブレード2枚分がなくなっているように見えるが角度によると隣接ブレードの根元は残っているようなので隣接のブレードは途中から破断し先端部分だけが飛んだのではないかと考えるが現時点で正確な破壊状況の情報を持っていないので不明だ。 もし、破壊した先端が外周方向に飛散したのだとするとカウル内側の傷はこの際にできた傷ではないかと推測はしているが、今のところ可能性に過ぎない。 また今回、エンジンのアクセスでもあるカウルは飛散したが他事例とは異なり、先端のリップ構造や低圧ファン自体の落下につながらなかったのはPW4000の構造上の違いによるものが大きいのはないかと考えられる。更なる情報が待たれる。 関連記事 ![]() ![]() |