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2010/11/20 18:52:11 ブログカテゴリ 恋愛 | 書庫 全般


みやまつに着いてからしばらくして、
私達の座るテーブルには人数が2人増えてた。

1人は女性で、名前は “ミキさん”

ミキさんは私より5つ年上で、ぽっちゃりして色白の女性。
ここに着いてすぐ、カズが呼んだみたいだった。

ミキさんは歌がスゴく上手で、透き通るような高い声は、
籠ったような低い声の私にとって、本当に羨ましかった。

私だけじゃなく、お店にいるお客さん全員がその歌声に聞き惚れてたと思う。





もう1人は、ここのマスター。
今日はいつもいる従業員が休みみたいで、マスターが店番をしてた。

カズ達は本当にみやまつに良く来るみたいで、マスターと親しげに話してて。
マスターも一緒に飲もうと言う事になって、そして今に至る。





同僚達は、まだテンションが高いまま。あんだけ飲んでるのに、潰れる人なんて1人もいない。
でもさっきより酔っぱらってるのは確かで、目は半開きだし、呂律もまわってなかった。

テンション持続のままの同僚の1人が
“ねえねえ、チューしよ”
ってしつこい。

私も人のこと言える立場じゃないけど、
その同僚に “鏡見て出直せ” って言いたいのを必死で堪えて、笑顔でスルーしてた。

断っても本当にしつこく言ってくるから、さっきトイレから戻った時にわざと遠くの席に座ったのに。
それでもテーブルに身を乗り出して言ってくるコイツは、本当に救いようがないアホだと思った。

極めつけには、マスターがこの後デートに行こうと言い出してきた。
正直言って、自分の親より年齢が上の男性には、まったく興味がない。

終わったら帰ってすぐ寝ます。って断ったら、
え〜。と言いながらほっぺを膨らませて、口を尖らせた。

・・・・・・・年を考えてほしい。

カズに、どうにかしてよと言っても、酔っぱらって全然聞いてくれてない感じで。
それどころか、この間の日曜の事を説教された。





2日前の日曜日、カズから着信があって。
その電話から聞こえてくる声は、今にも死にそうなくらい覇気のない声だった。
どうしたの?って聞いたら、熱があってきつい、お腹空いたけど家に誰もいない。
って言葉が返ってきた。

そのまま放って置く事もできないから、コンビニで何か買ってお見舞いに行こうとしたその途中。

コンビニに行くまでは熱があるならゼリーとかヨーグルトがいいかな、って思ってた私は、
いざ手に取ってカゴに入れようとしてから躊躇した。

お腹空いたって言うから、食欲はある。ってことは、普通に温かいものを食べたいのかもしれない。

商品棚の前で少し考てみたけど、悩むより本人に聞いた方が早いと思った私は
すぐにカズに電話をかけた。熱で死にそうな声を出すカズに。





それが、いけなかったみたい。





熱で死にそうと言ってる病人に、わざわざ電話してくるな。と言われた。

確かにキツそうなの分かった。
電話で聞く他にも、方法はあったかもしれないけど・・・
普通そこは、ありがとうじゃないの?と思った。
だけど酔っぱらいにそこまで言うのもめんどくさくて、右から聞いて左から流してた。

それでも、酔っぱらいと言えどこれが本音なんだろうと思った。

その説教に呆れたけど、寂しさを埋めたいだけの私にとって
それはどうでもよかった。
1人でいる時間が減るなら、本音がどうであっても。

本当に救いようのないアホは、私の方だった。



アホばかりのテーブル。楽しいはずなんてない。表面では、笑ってはいるけど。
そう思いながら、何となくミキさんの方に目をやると、
知り合いらしき男性とカウンターで楽しそうに話してた。

ここからは男性の後ろ姿と、その男性を見て楽しそうに笑うミキさんの横顔しか見えないけど。

ボーっとカウンターの方を見ながら、羨ましいなって思ったのは
このテーブルに嫌気がさしてたからかもしれない。


そろそろ帰ろうかな、と思い始めた。
ここにいても面倒くさくなりそうだったから。


その前に、トイレに行こうと思って席をたった、その時に。

ミキさんの隣にいる男性が歌をうたった。

私の大好きなアーティストの歌を。
その中でも大好きな、アルバムの曲を。

今までに一度も、このアルバム曲を歌った人を見た事がない。
アーティストは有名だけど、みんなメジャーな曲しか歌わないから。
知ってるけど歌わないだけかもしれないと思って、
何度かリクエストしたこともあるけど、
みんな口をそろえて “知らない” って言葉が返ってきた。

だからなのかもしれない、その男性に興味をもったのは。

私はトイレの中で、聞こえてくる歌声に耳を傾けてた。

後ろ姿しか見えなかったけど、どんな人なんだろう、と思った。
話してみたい、と。
さっきまで帰ろうとしてたのも、すっかり忘れて。










ひとつ、あの時あのタイミングでアルバム曲を歌った。












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2010/11/18 22:36:21 ブログカテゴリ 日常 | 書庫 全般


私は、自分に自信がない。
コンプレックスの塊とは、まさに私に相応しい言葉だと思う。

低い鼻。

たっぷりついた脂肪。

広い肩幅。

飛び抜けてデカイ身長。


これは外見の事だけで、内面のコンプレックスも合わせたら
あげたらキリがない。

女の子らしいって言葉とはほど遠い容姿。

横にも縦にもデカイなんて、一言で言えば  “ゴツイ” って感じだった。


それでも、10kgのダイエットで少しはマシになった方だと思う。

“見返すぞ作戦” で始めたダイエットも、
失恋の寂しさを忘れる一つの方法だった。

運動していれば、気分転換になれたから。


その作戦が成功しているのかどうかは分からないけど、
異性からお誘いが増えたって事は、ほんの少しでもコンプレックス解消に近づいてるんだと思う。


でもカズに至っては論外で、いわゆる “デブ専” らしかった。

直接本人から聞いたわけじゃないけど、
テレビにうつるぽっちゃりした芸人を見るたび、可愛いと言ってたから。

まだダイエット途中と言っても10kg痩せて喜んでる私は、 
“お前もデブだから今日誘ったんだよ” って言われてるみたいで
ここで喜んでいられない、って気持ちになった。










私が飲み始めてから1時間ほどたってから、二次会の場所へ移動する事になった。

既にほろ酔いで気分良くなった私は、飲むつもりじゃなかったはずなのに
一緒に移動する気満々になってた。

二次会の場所は、従業員が一人でまわしてるカラオケのあるお店で、
飲み放題料金で無制限に飲めるから、私も二次会などで何度か利用した事がある。

だけど私がこの場所を指定したわけじゃない。

カズとその同僚達の会話からして、よくそのお店に行ってるみたいだった。





まさかそこで―――――。










ひとつ、二次会で “みやまつ” に行った事。












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2010/11/17 23:10:04 ブログカテゴリ 恋愛 | 書庫 全般


ドアの前に、立っている。

重くて、堅くて、分厚い扉。





その先に何があるかは分からない。

だけど確かなのは、その先に人の気配を求めている事。

誰か、そこにいないかと。





何故か私は、そのドアに触れようとはしない。

ただ、誰かが開けるのを待っているだけ。





早く気づいてよ、と。終いには不貞腐れる。

そして段々と、少しずつ歪んでゆく。

どうせ、誰も気づいてくれやしない、と。

私の存在なんて、無意味なんだ、と。





いつからそう思い始めたのかは分からない。

随分昔のような気もするし、最近と言われればそんな気もする。





だけど、扉の先がどうしても気になって。





ここを出る準備をした。

と言っても、心の準備だけ。

持って行く荷物なんて何もない。

着飾る物もない。というか、着飾る術を知らない。





ここには鏡すら無くて。

自分で自分を見る事も出来なくて。





もしかしたら私は、着飾るどころか素っ裸なのかもしれない。





でも、それでも、扉の向こうが気になって仕方がない。

何度も何度も心の準備をして、扉の前に立った。




そしてどうしようも無い程に小心者の私は、

ノブに手をかけようとして、躊躇する。





明日に、しようかな?と。





あれだけ心を決めたじゃない!と慌てて自分に言い聞かせる。





うん、そうだ。今がいい。というか今しかない。





私は、これでもか、というくらい深く長い深呼吸をして、
思い切ってドアノブをまわした。









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2010/11/17 19:19:21 ブログカテゴリ 恋愛 | 書庫 全般


誘われた飲み会の場所について、
私は当たり前の様に、電話してきた友達の隣に座る。


友達の名前は “カズ”


カズは面白い。人並み以上にギャグセンスに長けてる。
こんなに頭の回転が早い人は、一般人にはなかなかいないと思う。


口から出るのは面白い冗談ばかりで、
気を紛らわせたい私には本当に都合が良かった。









飲み会は、カズの職場の飲み会だった。


何度か、このメンバーで飲んだ事はある。
だから初対面の、気まずかったらどうしようって心配はなく、
既に酔っぱらって出来上がってる輪の中に、すんなり入る事が出来た。


だからと言って、そんなに親しい訳ではなく。
会話の内容は、ほとんど私への質問だった。


“どれくらい彼氏いないの” とか “好きなタイプは?” とか。
面白半分での質問。
こんな事聞いて本当に楽しいのだろうか?と思ったけど、
よくある、女の人が好きな男の仕草は?的な質問なんだと解釈して、
1人で妙に納得した。


同僚達はなぜか、私とカズをくっつけたがる。
カズにその気がないのは、分かってる。
なのに何故かくっつけたがるのは、
カズが何年も独り者で、彼女を作らない所為。


お酒を一滴も飲んでない私は、
話しながらみんなの食べたゴミや空き缶を片付けてた。
このテンションの差というか、温度差というか。
それを誤摩化すには、そうする方法しか私には思いつかなかったから。


それが良い方法だったのか、何なのか分からないけど。
私を見て1人が “絶対、いい奥さんになれるよ” と言った。
“カズ、お前本気で考えてみたら” と。


その言葉に対してカズは、
“マジで、あとで後悔しそうだよな” 
と、意味の分からない言葉を返した。


私はただ、その場を誤摩化したかっただけ。
だけどその行動は、合コンなどでよく見かける 
“いい女テク” に当てはまったみたいで。


一体この人は、私の何を分かって “絶対” なんて言い切るんだろう。
実際私は、掃除が嫌いだ。


時刻は既に0時をまわってた。


同僚達のテンションは、ますます上がる一方で。

車で来たからと断る私に、代行のお金渡すから気にするな、と
同僚の1人がしつこくお酒をすすめてきた。


さっきカズに時間大丈夫か?と聞かれた時に、
明日休みだから大丈夫、と返したのを聞いていたみたいだった。


そして私は後先も考えず、誘惑に負ける。
この後、二次会の為に場所を移動する事になるとは知らずに。









ひとつ、誘惑に負けた。












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2010/11/17 14:27:53 ブログカテゴリ 恋愛 | 書庫 全般


今でも覚えてる。
あれは火曜日。ボウリングをした帰り。


本当に偶然だった。


偶然は必然、ってよく聞くけど。
あれが必然だったのか、ただ偶然が重なっただけなのか。
私にはわからない。


1本の電話が入るまで、
あの日はいつもと変わらない“火曜日”を過ごすつもりだった。










失恋からくる寂しさは、私の思考をおかしくしていく。


最初はただ、1人でいるのがもの凄く嫌で堪らなかった。










1人でいると孤独を感じてしまうから。





世界に誰もいないような気持ちになってしまうから。





頭の悪い私は、どうやったら1人で時間を潰せるのか分からなかった。





ただ、寂しさを埋めたかっただけ。
埋まりさえすれば、何でも良かった。
遊ばれようが、何しようが。


利用される側?する側?


そんなのどっちだっていい。
この寂しささえ、埋まるのなら。
この気持ちを一時的にでも、忘れていられるなら。





だからわざと予定を作った。
とにかく家にいたくなかった。


もう何ヶ月もそうしてたから、それが当たり前になって。
夜になると、行かなきゃっていう気持ちに襲われてた。


それでもその日は、お酒を飲むつもりなんてなくて。
飲むつもりなんてないから、車を走らせた。


他に予定なんてないし。
1人でいたくないし。
翌日の水曜は、珍しく平日の休みだし。


そんな私が、電話を取らないはずがない。










ひとつ、誘いを断る理由なんて何一つなかった。

















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