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クズ肉をつなぎ合わせて作る「最高級ヒレステーキ」
素人には分からないくらい巧妙な方法で細切れの肉をつなぎ合わせて、1枚の「最高級ステーキ」として売り出す。 加工そのものに問題はないここで注意したいのは、酵素による加工そのものに問題はないということです。映像中ではいかにも危険なように見えてしまいますが、これを危険としてしまうとワインやヨーグルト、チーズなどの発酵食品はみな危険ということになってしまいます。 食肉の発酵加工は別では、という論もあるでしょう。しかし肉の線維を分解し食感を柔らかくするため、パパイヤに含まれるパパイン酵素やパイナップルに含まれるブロメライン酵素を抽出し動画のように加工することはごく普通に行なわれています。これもダメだと酢豚にパイナップルを入れるな、という極端な話になってしまいますね。 工業製品とちがい、農作物や畜産物の進化はゆったりです。ある日突然食べられる部分が2倍に増えるということはありません。食べ物には限りがあるのです。 限りある食料を無駄なく使うためには、加工や保存の技術が必要になります。もしこうした技術がなければ食べにくい部分は捨ててしまわないといけなくなり、腐らせないよう常に新鮮なものを畑や牧場から運ばないといけなくなってしまいます。 そうすると食品を調達するコストは跳ね上がり、社会に食料が行き渡らなくなってしまうでしょう。適切に食品を加工することそのものに問題はない、というか今の状況では必要不可欠なのです。 食品加工によるリスク
問題は動画中でも触れられていましたが1. 加工による健康リスクの向上。 加工による健康リスクの向上については、不衛生な環境で加工することにより食品が汚染される可能性があげられます。 接着肉では、肉の表面に付着した大腸菌が内側に向くことになり加熱が効かなくなるケースがあります。また、動画内で接着剤として使用されているトランスグルタミナーゼは、Amazon.comでも手に入るほど普及(味の素製)しており、医療分野では止血剤や臓器などの接着に使われますが、これを経口で摂取した場合の安全性に疑問をもつ人もいるようです。 また、肉の変色を押さえるために一酸化炭素をパックに封入するという加工もあります。これも適切に加工・保存されれば問題がないのですが、外から見て鮮度が分からないという欠点があり、一部の国では禁止されています。 技術は日々進歩し、これまで分からなかった危険性が今は分かる、ということもあります。加工の方法の検証は定期的に行なう必要があるでしょう。 食品加工による最も大きなリスクは、偽装とそれによる信用の低下です。 例えば「コシヒカリ」は実際に収穫できる数十倍もの量が市場に流通していると言われています。「宇治茶」でも同じことが起こっています。ブランドがついて有名になった食べ物は、ものすごく高くなるのです。 こうなると、多少危険なもの、名前と中身が違うものでも売り切ってしまえば勝ちだ、ということになります。動画の中で見られたような、素人目には違いが分からないような加工品が「本物」として流通することで、農業・畜産業を含めた食品業界は信用を失うでしょう。そしていつか、市場メカニズムが働かなくなりブランドもなにもなくなります。 私たち消費者にできることはなんでしょうか。食品加工に関する知識をもち、必要以上に怖がらないこと。そして「いいものは安くない」ということを覚えておくこと。これにつきるのではないでしょうか。 ![]() ![]() |