昨日は、石垣島内で見つかった不発弾の処理を、陸上自衛隊 第101不発弾処理が行なったことから、陸上自衛隊 第101不発弾処理隊の隊長、長屋圭三2等陸佐が講師となる、不発弾処理についての研修会に参加してきました。
先の大戦で、日本国内に撃ち込まれたり落とされたりした連合国軍の砲弾や爆弾の総トン数は、約37万トン...その内の半数以上の約20万トンが、わずか数ヶ月の沖縄戦で、沖縄各地に撃ち込まれたのだそうです。
...鉄の暴風雨と言われる所以ですね。
その内、約5%が何らかの理由で、爆発しなかったりする不発弾となるのだそうです。
沖縄に撃ち込まれた20万トンの5%...1万トン
沖縄戦終結後、地表に出ていたり見つかりやすい場所にあった不発弾は、進駐してきた米軍によって処理され続けてきましたが、その後...本土復帰後は、陸上自衛隊 第101不発弾処理隊が、その危険な任務を引き継いでおります。
第101不発弾処理隊が、年間処理する不発弾は、約30トン...沖縄県内には、まだ2,500トン以上の不発弾が残されていると言われていますので、沖縄県内の不発弾を処理する為には、あと...100年程掛かってしまいますね。
今も県内の至るとこに眠っている不発弾...第101不発弾処理隊は、日々...24時間体制で、不発弾の発見通報→処理の即応体制が取られているのだそうです。
よく新聞やTVで見かける不発弾は、表面が錆付き...すでに爆弾としての機能は失われているかとのように思えますが、火薬というものは、それを囲う外郭が錆付いて劣化していても、火薬自体は、その機能を失っておらず、非常に危険なんだそうです。
...というのも、爆弾や砲弾というものは、着弾後...その衝撃で、信管が働き、爆発する仕組みになっていますが、不発弾というものは、何らかの理由で、信管が作動しなかったものです。
不発弾が発見されるという状況は、工事現場などで、ユンボが土を掘削している最中に、ユンボのバケットが、その不発弾を叩いて発見されるというケースが殆どです。
ユンボのバケットが触れる...叩くということは、その不発弾に、着弾時のような衝撃を与えるということですので、何らかの理由で作動していなかった信管が、その衝撃で、作動する可能性が高いのです。
...長屋隊長が言うには、その場合は、急いで、半径200M以上離れて非難することなんだそうです。
そして...特に八重山の皆さんに注意してほしい爆弾があるのだそうです。
それは...『長延期信管』が付いた爆弾なんだそうです。
この信管が付いた爆弾は、その名の通り、着弾してすぐに信管が作動するのではなく、1日から最大6日後に爆発する爆弾なんだそうです。
この爆弾は、米軍が上陸するような場所には使用しない(自ら被害に合う可能性がある)為、八重山や宮古に多く使用され、特に現在工事中の『新石垣空港』の近辺は、昔...海軍の飛行場があった為、この爆弾の不発弾が、たくさん眠っている可能性が高いのだそうです。
この不発弾の怖いところは、衝撃を与えて信管が作動しても、すぐに爆発せず、最大で6日後に爆発する可能性もあることから、不発弾と判っていても、数日間爆発しないので、安心して、近くに寄ったときに爆発する可能性があること...そして、いつ信管が作動したのかも判らないことです。
昨夜、不発弾処理を行なった第101不発弾処理隊の若い自衛官と一緒にお酒を飲んだのですが、彼が言うには...
『長延期信管の不発弾の処理の際には、必ず遺書を残していく...初めて長延期信管の不発弾処理を行なったときは、いつ信管が作動したのかが判らないため、膝が震え、生きた心地がしなかった...』
...のだそうです。
命がけ...ホント、命がけという言葉そのものですね。
数ヶ月前、石垣市議会で、新空港の工事現場で不発弾が発見される可能性が高い為、不発弾処理隊を石垣に駐屯させるべきだという意見書が上程されましたが、その理由は、この長延期信管が付いた不発弾が多いということからだったんですね。
不発弾が発見された後、専門化が、それが通常の信管が付いた爆弾なのか、長延期信管が付いた爆弾なのかを即、見極める必要があるのですが...石垣市議会は、賛成少数で否決しちゃいました。
反対した議員さんは、不発弾のことをちゃんと調べて反対したのでしょうか...それとも、...ただのイデオロギーで?
この長延期信管が付いた不発弾の他にも、空気に触れただけで燃え上がる『黄燐(おうりん)』を使用した不発弾があり、消化するには、空気を遮断するしか方法がないという恐ろしい爆弾があることも知りました。
とにかく...とても勉強になった研修会でした。
第101不発弾処理隊 長屋隊長の講演のあとは、急患輸送業務を行なう、第101飛行隊 隊長 印口岳人2等陸佐の講演...それは、また後日...
*上記記事に誤りがありました。
不発弾処理隊の石垣島駐屯の件で、石垣市議会が否決したと書きましたが、賛成・反対同数で、議長採決で可決され、要請を行っております。